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圧着保持の道具
2004/07/16

日曜大工でだんだん腕が上がってくると、ネジや釘の頭が見えてしまうのが大変気になってきます。 そこでネジ・釘を使わずに木ダボ接合をしたりしたくなってきます。  また小型のものになるとネジ釘等を使わずに木工ボンドなど接着剤で接合するだけで十分な場合がかなりあります。

こういったときの接合力は接着剤に依存することになるわけですが、接着剤の種類は多々あるにせよ十分な接合力を得ようとしたら、基本的に守らなければならない点があり、これは全ての接着剤共通となっています。 それらとは、

  ・接着剤が硬化するまでの間接着面をずらしてはいけない。
  ・接着面は可能な限り密着(圧着)したほうが接着力は上がる。


の2点です。

接着剤の硬化時間はその種類によりまちまちですが、次のようなところが目安になると思います。

(以下はメーカー発表の数値ではなく私の経験でつかんでいる値で、すべて常温下です。)

接着剤の種類 圧着保持の時間 完全硬化に要する時間 コメント
木工ボンド 2-3時間 12時間 気温により硬化時間は大幅に変化する。
合成ゴム系接着剤 ごく僅か 数時間 圧着前に数分-10数分乾燥させることが前提。
エポキシ系接着剤 1時間-6時間 24時間以上 硬化時間は品種によりかなり幅がある。
瞬間接着剤 数10秒-1分 1時間 使いすぎは硬化時間が大幅に伸びる。

合成ゴム系接着剤や瞬間接着剤では貼り合わせたその瞬間が大事で保持する時間はごく僅かですみますが、日曜大工で圧倒的に使用の機会が多い木工ボンドにおいては2-3時間は圧着状態を保持しないといけないし、接合面を動かしてはなりません。

こんな長時間接合面がずれることなく指などで支えるのは不可能ですから、ネジ・釘の助けを使いたいところですが、見栄えをよくしたいと考えたら道具などを使って工夫しなければならないことになるわけです。

そのための道具や方法として次のようなものが挙げられます。

   1.輪ゴムやゴム紐で締め付ける。
   2.タコ糸など紐で締め付ける。
   3.テープを巻きつける。
   4.クランプを使う。
   5.ハタ金を使う。


1.3.は小型の工作物には便利ですが、締め付け力は余り大きく取れないことと、接合角度の保持!という点で心もとないという難点があるものの余計な費用無しで対応可能なのはありがたい点です。

2.の方法は締め付け力を上げることは用意ですがやはり接合角度の保持という点で問題があります。

本格的に圧着力を確保し接合角度の正確な保持という点で4.5.は格段に優れていますが、専用の道具を必要とし費用的な負担が発生します。

実は何を隠そうかく言う私もクランプやハタ金を使い出したのは15年ほど前のことであり、重要な道具として余り捕らえていなかったという反省があります。 その一番の理由は費用だったのはないかと思います。 何年前か忘れましたが例えばそのころ50mmのクランプを買うとすると一個\700.-位していたように記憶しています、クランプを一個ではどうにもなりません。 8個は欲しいところですが出費は\4,000.-を超えてしまいとても手が出なかったのを覚えています。 ハタ金も同様でした。

その後の貨幣価値の下落と販売価格の減少で現在では大型のものを除くとかなり求めやすくなっているように思われ、挟む物の大きさに応じて次のような選択が費用的にも妥当なのではないかと思います。 本当に確実な接着剤による接合をしたいと志向される方は、是非とも購入を検討されたらと思います。

 ●挟む厚み1cm前後で圧着力はそれほど要らない場合。
 洗濯バサミ、事務用のクリップ、プラスチック製のクリップなど身近な物を流用しましょう。
 圧着力は高くありませんが、洗濯バサミで左の写真にある形状の物は結構厚いものをくわえられま
 す。 わざわざ購入しなくても賄える点は費用負担が少くて便利で、小型の工作物に適しています。



 ●挟む厚み100mm以下
 50mm75mm100mmのクランプを使います。
 大きい物を買っておけば小さい物は不要に思えますが、大は小を兼ねない! 小は大を兼ねない!
 のことわざどおり、実際に使ってみると大きい物では干渉しやすくて使いものにならない局面があり、小
 さくてはくわえられないことが無論ある!と、経験すればするほどそれぞれの所有数量が増える傾向に
 あります。

 ●挟む厚み100mm以上300mm以下
 F型クランプ、バクマクランプなどと呼ばれるクランプとハタ金の2種類が存在しま
 す。 面白いことですがそれぞれの正確は全く正反対で、前者は締め付け力が
 かなり高く取れますが、締め行け力の微妙な調整は苦手です。 ハタ金はその
 逆で余り高い締め付け力は取れませんが、デリケートな締め付け調整にもって
 こいというわけです。 (左はバクマクランプで右はハタ金です。)

従って作る物の大きさ、板厚、デリケートな締め付け調整が必要かどうか?などによって使い分けするのが理想です。  コストの観点から比べるとハタ金のほうが一般には安いですが、使用本数は多めになる傾向がありますので、結局投資費用としては似たようなものになってしまう傾向にあるように思います。

 ●圧着力を大きくしたいとき
 300mm以上で圧着力を重要視するのであればパイプクランプが割安で大変合理的です。
 ハタ金、Fクランプに比べるとデリカシーを感じる使用感こそありませんが、アメリカ的なおおらかな発想の
 合理性を感じます。 別途手配する鉄製の水道管の長さ次第でかなり長いサイズのものまで対処できま
 すが、実用性からして750mmから900mm以内が適当かと思います。(長くなるとかなり重くなる。)



mini-Shopでは以上の4種類のクランプ(C型クランプバクマクランプ、ハタ金、パイプクランプを扱っておりこちらからお求めになれます。

 ●自作中型/大型木製クランプ
 また圧着力を高められて大きな物でもくわえられる木製大型のクランプを簡単に自作することが可能で
 すので、2セットほど作っておくとよいでしょう。(私が作ったものは600 x 800mm位の物までを完全に
 挟むことが出来ますが、2組で\1,000.-以下の材料代でした。)

  左の写真をクリックするとその製作方法をご覧いただけます。




 ●締め付け補助の道具
 板を貼り合わせる場合、クランプのフトコロ寸法不十分で板の中央部分の密着度を上げられなかった
 り、長い物を貼り合わせる場合にはクランプが多数必要になることが出てきますが、こんな時には鉄製
 のLチャンネル材を手に入れておくと便利です。 表面に亜鉛メッキされた物であれば錆が出る心配も
 ありませんし、長さ900mmのものを4本手に入れておけばかなりのケースに対応できます。

 これを使って自家製の集成材(薄い板材を貼り合わせただけのものですが!)作りには特に威力を発揮しており、端材利用にも大変貢献しています。

密着度を上げないと本当の接着力は得られない。 これは実際にやって見れば確実に納得できます。 是非クランプ類の重要性を再認識していただきたいと思います。



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